「社会人として、会社で生き抜くためにどんな能力が必要か?」
学生時代、そんなことばかり考えていた。
意識高い系の学生だった僕は、
「論理的思考力やビジネスフレームワークだろ」
と思いつつ、ビジネス書を読んでいた。
社会人になり8年、んなもんは対して必要な能力じゃなかったことに気づいた。
それらの能力は、十分条件ではなく、
あれば嬉しい必要条件だった。
では、会社で生き抜くため必要な能力は、何だったのか?
長い物に巻かれる能力とは?
会社で必要なスキルはたくさんある。
その中でも、”長いものに巻かれる能力” は重要だ。
長い物に巻かれるとは、どういう意味か?
強い権力を持つ者や、強大な勢力を持つ者には、敵対せず傘下に入って従っておいたほうがよい、といった処世術を表す言い回し。
要するに、会社という組織の中で、自分の立ち位置を理解して良きに計らうことだ。
新入社員であれば、会社にとっては一番下っ端な存在だ。
一番下っ端らしく、立ち振る舞うのが正しい処世術ということになる。
中には、
「会社の犬になりさがりたくねぇ」
「皆と同じことしていたら成功できない」
「偉い人に媚びを売っても、自分のビジネススキルが上がらないだろw」
そんなことを考える若い人もいるようだ。
昔の僕のように。
長い物に巻かれる重要性を知った
「会社で必要な能力って何すかね?」
そんなことを若い頃、尊敬する先輩に聞いた。
先輩はこう答えた。
「論理的に考える思考力」
「正確な日本語で文書を書く力」
「人の話や文書を正確に理解する読解力」
あと、「基本的な日本政治経済史」もあるといいよと先輩が教えてくれた。
僕はこう続けて質問した。
「そういうリクルートとか学生でも考えつくようなやつじゃなくて、もっと成功に近づくための見解を聞きたいです」
先輩はしばらく考えた後、こう答えた。
「黒いものも白に見える視力」
「若手の声は聞き取れない聴力」
「正論を言う奴を排除する根回し力」
「発言したくても黙っていられる忍耐力」
あと、
「パソコンがなかった時代の先輩方の仕事のやり方と苦労の歴史」
も知ってると、会社の中で気に入られると思う。
と、先輩は答えた。
誰よりも仕事で成果を出し、人望がある尊敬する先輩ですら、
長いものに巻かれる重要性を語ったのだ。
これまで、僕は「会社の犬になんかなりたくねぇ」と思っていた。
だが、今ならこの先輩の言葉に、胸が痛いほど共感できてしまう。
郷に行ったら郷に従え
みんな少なからず、”自分の意志”で会社を選び、入社して働くはずだ。
前提として、”自分の意志”というのがある。
誰かに手錠をはめられ、強制送還させられて会社に入社する人はいないはずだ。
つまり、自分が「ここで働く」と決めた以上は、その会社のルールに従うことは当たり前の話なのだ。
どうしても会社のルールに納得ができないならば、さっさとその会社を辞めるべきだろう。
自分の納得がいくルールの会社に転職するか、自分で会社を起こすべきだ。
ここで、雇った側の経営者の気持ちを考えてほしい。
よそ者で入ってきた社員が、会社に不平不満の愚痴をこぼし足を引っ張る人間だったら、会社に必要ないと考えるはずだ。
「郷に行ったら郷に従う」
それが、サラリーマンとしての宿命だ。
これは、「環境適応力」ともいわれる。
自分に不都合な環境でも、うまく適応し、その環境を利用する力のことだ。
先輩が教えてくれた4つの能力は、会社で上手く立ち回る適応そのものだ。
「黒いものも白に見える視力」
→納得いかないことも、会社が考えていることを自分も同じように考えて見る能力
「若手の声は聞き取れない聴力」
→経験と実績で物事を語る能力
(若手のように経験も実績が伴わない声は届かない)
「正論を言う奴を排除する根回し力」
→どんなに正しいことも、会社として正しいことなのかは経営陣が判断するため、
彼らを口説き落とす能力
「発言したくても黙っていられる忍耐力」
→自分の意見を語る前に、人の意見を傾聴する能力
これら4つの能力が、会社で生き抜くために必要な能力だったのだ。
長い物に巻かれることは、別に悪いことではない。
恥ずかしいことではないのだ
むしろ、会社のために働く上では必要な能力だろう。
もしタイムマシンで過去に戻れたら、当時の僕にこういってやる。
「長い物に巻かれることはかっこ悪くないし、何一つ無駄じゃない」と。
会社で生き抜く力がどの程度あるかを知るには?
「会社で生き抜く力がどの程度あるか」は、人材としての市場価値と比例している。
会社で生き抜く力を上げようと思っても、今自分がすでにどのくらいの力なのか、現在の市場価値(能力や価値)を知ることは重要だ。
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今日はこんなところで。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
−書き手−
キャリアコンサルタントのはるきち(@harukichi_macho)