「何でアイツは持っているのに自分は持ってないんだよ」
そんな悩みを抱えていた。
その悩みの種は、ゲームだ。
中学生の時にモンスターハンター2という、PSPのゲームが大流行していた。
僕も欲しかった。
友達がみんな楽しそうにやっているのを見て、どうにかお金をかき集めて買った。
兄貴にお金を借りたり、貯めてたお年玉を切り崩した。
無事に購入することができ、
友達と朝から晩までゲームに明け暮れる日々を過ごした。
最高に楽しかった。
だが、いま振り返るとこれが人生で初めて、「持っていない側」から「持っている側」に立場が変わった経験だったのかもしれない。
社会に出て8年。
世の中には思っていた以上に、「持っていない側」と「持っている側」の格差が激しいことに気づいた。
その格差を知り、人はどうすればいいのか。
この記事には、現代の若者はSNSを通じて人と比較されやすい環境下だから、比較せずに自分らしく生きようと書いた。
だが、「人との比較を辞めれば幸せになれる」と、ありきたりな言葉で片付けてよいのか。
人との比較を辞めたところで、「持っていない側」と「持っている側」の格差は埋まらない。
なぜ格差が埋まらないのだろうか。
持つ者と持たざる者は分かり合えないのだろうか。
持つ者と持たざる者とは?
伊坂幸太郎のシーソーモンスター(小説)を読んだ。
この本で、二つの物語があるのだが、その両方に共通点がある。
それは、どちらの物語も出会ってはいけない二人が出会い、暴走するように物語が展開していくのだ。
1つ目の物語は、姑と反りが合わない悩みを持つ嫁の話。
2つ目は、配達員の水戸がとある事件の容疑をかけられ、捜査員の檜山に追いかけられる話。
2つの物語には持つ者と持たざる者が対立しているのだ。
恋愛でも仕事でも、人生には自分を欲しいモノを持つ者と持たざる者が存在する。
・彼女を持つ人、持たざる人
・仕事で欲しい地位を持つ人、特別なスキルを持つ人
持つ者と持たざる者には、それぞれ言い分があるが、どっちが正しいとかは別にない。
が、多くの場合は、持たざる者が持つ者に対して嫉妬や不満を抱えるケースが多い。
しかし、双方の立場には大きな壁が隔たっている。
持つ者と持たざる者の壁は想像以上に高い
最たる例として、”年収”がある。
高所得者と言われる、年収1000万以上の世帯はどのくらいあるのか。
こちらをご覧頂きたい。
「上級/下級」の分断社会 世帯間の所得格差が加速度的に拡大するワケ | マネーポストWEBより引用
年収1000万以上の世帯は、わずか11%。
中央値は423万円。その差は倍以上だ。
あくまで世帯所得なので、夫婦共働きで年収が併せて1000万も含まれる。
多くの人々は年収1000万以下の暮らしをしている訳だ。
この壁は想像以上に高い。
金持ちをやっかみ、「もっと高所得者に重税を!」と、叫ぶ低所得者の気持ちが分かる。
だが、「自身の努力で年収を上げたのに、何もしない貧乏人に税金なんかに渡したくない」という高所得者の気持ちも分かる。
お金を持つ者と持たざる者は分かり合えないのだろうか。
持たざる者は持つ者になることでしか、悩みは消えない
僕は高卒で入社して8年目だ。
入社当時から、高卒という学歴にコンプレックスを抱えていた。
大卒は総合職なのに対し、高卒の僕は技能職。
やれる仕事の幅は僕の方が少ない。
嫉妬した。
だが、いくら嫉妬したところで僕の悩みは消えなかった。
色々考えた末、努力して僕も大卒と同じ総合職になる道しかなかった。
7年、直向きに働いてみた。
8年目の今年、大卒と同じ総合職に転換できた。
時間は掛かってしまったが、
高卒という学歴コンプレックスから開放された瞬間だった。
総合職という立場を持たざる者から持つ者に変わったことで、気づいた点がある。
①持たざる者から持つ者になるしか、悩みは消えないことを知った
②持つ者に持たざる者の気持ちは分からない
③持つ者になると、持たざる者の気持ちが分からなくなる
これらの結果、両者が対立するような構図が自然と生まれてしまうのだ。
この対立は多分、一生なくなることはない。
だが、お互いを理解することはできる。
「対立する者同士でも、相手のことを知ろうとすることはできる。
いや、相手のことを知ろうとすることは大事なことだ。
対立していると、相手のことは歪んでしか見えなくなるらしいからな。
あの、おばあさんが言ってたように」
持つ者と持たざる者は、分かりあうことができるのだ。
相手のことを理解しようとさえすれば。
そんなことを、シーソーモンスターから学んだ。
まとめ
・持つ者と持たざる者には、双方の立場に大きな壁が隔たっている
・持たざる者から持つ者になるしか、悩みは消えない
・持つ者に持たざる者の気持ちは分からない
・持つ者になると、持たざる者の気持ちが分からない
・持つ者と持たざる者は、分かりあうことができる
相手のことを理解しようとさえすれば
伊坂幸太郎の「シーソーモンスター」を読み、現実世界でも同じような事象が多々あると気づいた。
人の価値を、経歴や職業、資産を持っているかどうかで判断してはいけない。
人の価値は、目に見えない内面的な優しさや面白さを含め、判断されるのだ。
何よりも、立場の違いをお互いが理解し合うことが重要。
立場の違いに優劣はないことを理解し合うのだ。
そうすれば、少しずつ働きやすい、生きやすい世の中になっていくと思う。
以上。
今日はこんなところで。
−書き手−
キャリアコンサルタントのHARUKICHI.(@harukichi_macho)
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