2021年9月16日。
本日から、高卒の新卒採用試験がスタートします。
「高卒の新卒採用?」って方も多いかと思いますが、毎年約20万人近い高校3年生が新卒で就職試験を受けた後、就職します。
大学全入時代とはいえ、毎年20万人もの生徒が仕事を決めて社会に飛び立つわけです。 書き手の私も、高卒で就職しております。
さて話は変わりますが、先月の8/2〜3にて、埼玉県立松伏高校さまに面接指導員としてお仕事してきました。
対象は高校3年生です。
彼ら彼女らは、本年度、高卒で就職する生徒達でした。
つまり、私の仕事は「高卒の新卒採用に向けた面接指導」を行ってきました。
で、本記事はその際に得た学びや生徒にしたアドバイスを数々の方に知ってほしいな、今週から始まる高校新卒採用の参考にしてほしいなと思い筆を執りました。
本記事を読んで、特に有用と感じられる方々は以下の通りです。
・高卒で就職活動を行う必要がある生徒を持つ進路指導室の先生
・身内や知り合いに高卒で就職活動を行う生徒の親御さま
・高卒で就職活動中の高校3年生
・面接に望む企業の人事担当及び管理職のみなさま
私自身、高卒で新卒採用を経験していることもあり、個人的な意見も多く入るかと思いますがどうぞご容赦ください。
- 高卒の新卒採用ルールについて
- 高卒採用の面接に求められることは?
- 高卒の新卒採用面接時のやってきたこと・できること・やってみたいこと
- 面接ポイント①高校時代までにあなたが「やってきたこと」とは?
- 面接ポイント②高校3年生のいま、あなたに「できること」とは?
- 面接ポイント③希望の会社で就職した未来で、あなたの「やってみたいこと」は?
- まとめ
高卒の新卒採用ルールについて
まずはじめに、高卒の就職についてご存じない方もいるので説明します。
高卒の新卒採用について、昔ながらのルールがあります。
それは1人1社制というものです。
高校生が就職活動をしていく中で、受けれる企業は基本的に1社のみというルールになります。
例外として、受けた会社に落ちてしまえば、次の2社目を受けることができます。
ですが、基本的には1社のみ受けて受かったらその会社に入るしかないのが現状です。
このルールに関しては、近年大変問題視されており、将来的にはこのようなルールは撤廃される動きがあるようです。
①高校生が一定期間の間に複数企業への応募を認めることを地域ごとに見直しを促している(これまでは原則1社のみ)
②認めない場合でも複数企業への応募を可能とする時期の前倒しが望ましいとしている
③学校推薦を使わずに民間企業経由の就職ができる(その場合の統一応募用紙の提出が必要)
2020年2月23日の日本経済新聞朝刊の社説より引用
より詳しく高卒の新卒採用の流れについて知りたい方はこちらで!
現実問題、いまだにこの1人1社制が足かせとなり、よくわからない企業によくわからないまま入社してミスマッチが起きてしまう、そのような事例が散見されます。
ミスマッチをなるべく防ぐ、キャリア選択、会社選択の深堀りをテーマに先日は面接指導を行ってきました。
高卒採用の面接に求められることは?
この先読んで頂きたい方は、
「既に高卒で就職することが決まっており、行きたい会社まで決まっている方」が対象となります。
逆に「高卒で就職するかを悩んでいる方、会社がまだ決まっていない方」はここまで読んで頂き、まずは就職か進学かを比較して一旦検討された方がよいかと思います。
参考に高卒就職についてはこちらの記事で会社選びなどをこちらにまとめております。(月に1500人に読まれ、通算3万人以上の方に読まれている記事)
では、高卒採用の面接に求められることって何だと思いますか?
熱意があるか?
勉強はできるか?
部活動で頑張っていたか?
どれも必要っちゃ必要なことです。
その上で大切なことがあるんじゃないかと。
最も大切なことは「自身のやってきたこと・できること・やってみたいこと」が、入りたい会社へ「一貫性をもって素直に伝えることができるか」に尽きるんじゃないかと。
これは味噌ラーメンの味噌くらい大事です。
要するにあなたが「過去やってきたこと・現在できること・未来のやってみたいことが、入りたい会社でどのように活かすことができるかを知ってもらう」こと。
それが大切なんだと思うんです。
ちなみに、これは高卒で就職する場合の話です。
大卒と比較して高卒の就職活動で決定的に違うことは、「誰もが認める輝かしい実績や論理性は必要がないという点」というのがミソとなります。味噌だけに。
いわば高卒採用はポテンシャル採用だといわれます。
実績があれば越したことはありませんが、採用側はそこまで重要ではないと考える傾向があるということです。
実績がなくとも、採用担当に「ウチで採用したら、きっと活躍してくれる素直な子だね」と思わせたらOKということなのです。
これがポテンシャル高卒採用なのです。
では、具体的にそう思ってもらえるような面接対策を見ていきましょう。
高卒の新卒採用面接時のやってきたこと・できること・やってみたいこと
さて、高卒で就職する高校生3年生のいまはというと、就職試験を受ける会社が決まって履歴書を準備し終えて提出が終わっている段階、そのような前提で書いていきます。
会社見学も終わり、進路指導室の先生や私のような外部支援者の面接練習をたくさん受けていきたかと思います。
いよいよ、面接本番の前に最終チェックでここから先は見て頂けると幸いです。
自己分析などを進めていく中で、絶対に必要になる就活に必要な3項目があります。
・過去やってきたこと
・現在できること
・未来のやってみたいこと
この3項目が入りたい会社でどのように活かすことができるかを知ってもらうため、各項目ごとに様々な具体的な質問が飛んでくることでしょう。
面接時に「やってきたこと・できること・やってみたいこと」について、どのような質問がくるのか、なぜそのような質問がくるかを噛み砕いて見ていきましょう。
面接ポイント①高校時代までにあなたが「やってきたこと」とは?
高卒で就職する際に必要だと考える「やってきたこと」は何に当たるでしょうか?
履歴書の内容の1つとして書いたり、面接で99%聞かれる「志望動機」。
これもいわば「やってきたこと」の経験から、入りたい会社の志望動機につながるケースもがあります。
例えば、知り合いにこんな方がいました。
<とある生徒の志望動機>
小さい頃からプラモデルを作るのが好きだった(やってきたこと)
↓
高校時代もモノづくりをしたくて工業高校に進学しロボットなどを作った。電気の勉強が苦手でロボット作りは上手くいかなかったけど、好きなモノづくりだからがんばれた(やってきたこと)
↓
モノづくりをする会社に就職したくて、プラモデルや模型などの製造メーカーに就職
彼のように、「やってきたこと」というのは志望動機を考える上で、非常に一貫性をもたす武器となります。
逆をいえば、「やってきたこと」に入りたい会社への繋がりが微塵もなければ、弱点となるので注意が必要です。
この「やってきたこと」というのは実際の面接では以下のような質問がとんでくることでしょう。
<高卒採用の面接の場で「やってきたこと」を質問される例>
①高校時代に一番がんばったことは何ですか?
⇒クラブ活動・勉強・生徒会・ボランティア活動・修学旅行・文化祭等々の活動経験をどう会社の仕事に活かせるか?
②あなたの趣味はなんですか?
⇒ゲーム・ユーチューブ・ファッション・料理・何でもいいがその趣味と仕事に少しでも共通点やなぜ趣味に情熱を持っているのか「人柄」が伝わってくるか?
③好きな科目はなんですか?
⇒どんな科目でも無駄な科目はないが、工業系の仕事であれば理数科目、営業系の仕事であれば国語や体育などが好まれるので、仕事に学んだ科目がどう活かせるかもセットで答えられるか?
ポイントなのは、何にチャレンジして失敗や成功をしてきたかという点。
「やってきたこと」を具体的なストーリーでまとめあげ、どんな気付きがあったかを用意しておきましょう。
面接ポイント②高校3年生のいま、あなたに「できること」とは?
次にやってきたことを振り返ることで、あなたに「できること」が少しずつ見えてきます。
取り組んできたことが、自分にあっているあっていないはさておき、周りから「すごいね!」と言われることや周りは辛そうにしてるけど自分は何ともないことがそれに当たります。
具体的にできることは、下記のようなものがあります。
<高卒採用の面接の場で「できること」を質問される例>
①地道にコツコツ努力することは得意ですか?
⇒資格取得や部活動での頑張った取り組み、アルバイト経験、苦手だったことが頑張って克服できたエピソードで答えられるか?
②あなたの長所と短所を教えてください。
⇒長所は具体的に客観的に、短所は具体的に改善できる取り組みをセットで答えられているか?
例)長所はコミュニケーション力があることです。
部活動で部長をやっていたのですが、周りのメンバー全員とうまく関係を作ることができ、誕生部のときには部員全員からプレゼントを貰いました。
短所は大雑把な性格をしているところです。大雑把な性格のせいで、テストでケアレスミスをしてしまうことがあります。
最近は、それを改善するためにテストでは「指差し確認」をして意識することでケアレスミスを減らすことができました。
他にも「できること」に関してはエピソードを交えて具体的に答えるようにしましょう。
あなたが経験したことは、あなたしか経験していないのです。
その経験を人に伝える場合には、具体的でなければ伝えることができません。
例えばこれが具体的じゃない例です。
BAD
「ガソリンスタンドのアルバイトで苦労しました。しかし、職場の先輩とうまくやって解決しました。だからアルバイト経験を活かして御社の仕事も頑張れます!」
というようなアピールをしたとしましょう。
面接官からすると「???」が頭に浮かびます。
「何が苦労したのか?」
「なぜ問題解決したんだろうか?」 そんな疑問が頭に浮かぶのは「具体的じゃないから」です。
では、上記の経験エピソードを具体的に伝えるとこうなります。
GOOD
「近所のガソリンスタンドENEOSで人生初めてのアルバイトで苦労しました。
初めてのアルバイトということもあり、年齢が離れている人ばかりと時間を過ごすのに、どうコミュニケーションを取ればよいか分からず苦労しました。
しかし、職場の先輩方に自分から「今日も暑いですね!」とか自分かた話をかけるように取り組んでみたら、今では職場の全員と仲良くなれて解決しました。
だからアルバイト経験で培ったコミュニケーションを活かし、御社の仕事でも頑張れます!」
どうでしょうか?
頭の中に「ENEOSで初めてのバイト頑張ったんだな」と先程より伝わったのではないでしょうか。
ポイントは相手の頭に浮かぶように、相手の知っている言葉と何が課題でどう解決したかを話すということです。
これを簡単にできる方法として、PREP話法というのがあります。
POINT 結論を述べる
REASON 理由
EXAMPLE 具体例・事例
POINT 結論を繰り返す
それぞれの頭文字を取って、PREP話法ということです。
話の上手い人はもちろんのこと、プレゼンの上手い人や経営コンサルタントは、PREP法を意識して話すことを心掛けています。
なぜなら、話し手の主張に説得力を持たせる話法だからです。
さらに興味のある方はぜひこちらの記事も読んでみてください。
PREP法を意識した話し方をするだけで、相手にぐっと伝わりやすくなるのです。
面接ポイント③希望の会社で就職した未来で、あなたの「やってみたいこと」は?
ふぅ。ここまで、本当にお疲れさまでした。
自身が「やってきたこと」⇒「できること」を繋げてきた最後に、未来のあなたが「やってみたいこと」で締めくくって終了です。
ここまでやりきれたら、就職活動をしていく自身が希望する会社に対し、明確な入社理由と働く意味づけができます。
意味づけをすることができれば、入社後のギャップ(社会の厳しさや葛藤)の程度が軽くなり、有意義な社会人生活のスタートが送れるという訳です。
もちろん、入社後に様々な悩みや困りごとは発生するかと思いますが、決定的に「うわぁー、入る会社ミスったー」とまでは、ここまで考えた上で就活をしたあなたには起こりにくいかと思います。
では、最後に。
未来のあなたが「やってみたいこと」を考えていきましょう。
まずイメージして頂きたいのが、入社した後にもし仮に、何の目的もなく無償で週5日、定年60歳までの42年間、働けますか?
多くの方が何の目的もなく、そんなにがむしゃらに働けません。
現実問題、働く目的の大半は「お金のため」です。
もし仮に、どこかの大人が「働くのは夢や希望、志のために働きなさい!」と声高らかに叫ぶ言葉の前提には、「お金を稼ぎながら」というのがあります。
かといって、「お金のため」だけに働くことは、特に高校を卒業したばかりのあなた方には「退屈な日常」と化すのでおすすめできません。
せっかく新卒で好きな会社を好きなように選べるならば、面接官からすると「お金以外の目的」を目を輝かせて語れる宝物を持っていてほしいのです。
例えば、志望する会社で「やりたい仕事がある」「社風が好き」「憧れの先輩がいる」何でもいいのです。
それが高卒の新卒領域で求められること、若者に期待していることなんです。
会社に新しい風を吹かすような、社内メンバーに発破をかけるような目がキラキラしている人材を求めているのです。
では、実際の高卒採用で質問される例を噛み砕いて見ていきましょう。
<高卒採用の面接の場で「やってみたいこと」を質問される例>
①入社したらやってみたい仕事はありますか?
⇒「やってきたこと」「できること」を踏まえ、志望理由の延長線上でやってみたいことを伝えられているか?なぜやりたいかがシンプルに伝わるか?(具体的であるか?)
②入社後の適性によって、職種を変わってもらうことや転勤がありますが、やってみたいですか?
⇒「変化に対応できる人材であるか?」「自身がやりたくないことも入社できるなら頑張れそうか?」に回答できるか?
③最後に何か質問ありますか?
⇒「入社までにやるべきことを聞けているか?」「入社しないとわからない会社独自の情報を得るための質問ができているか?」
例)社内の雰囲気、商品の開発背景「社内で活躍している方の特徴を聞いて、自身もそうなりたいことを伝えられているか?」などを最後の質問で回答できているか?
いかがでしたか?
将来のことを話すだけで、何だか自分もワクワクするし、聞いている方も「採用してみようかな?」という気になってきませんか?
人は未来についてポジティブに考えるのが好きです。
そして、人間はある出来事を簡単に想像できると、その出来事が実際に起こる確率を過大に見積もるんです。
人間はたいてい、悪いことより良いことを想像する訓練をたくさん積んでいます。
ですので、面接で良いことを伝えれば、それが起こる確率を高く見積もりがちなのです。
「営業で売上1位目指します!」
「同期で一番の成果を出します!」
「1年で一人前になれるようにがんばります!」
このように高校3年生の生徒に面接で言われたら、できるできないではないんです。
「本当にやってくれるかも?」と期待を感じさせられるか、思ってもらえるか、それが何よりも重要です。
※前提として、できそうな雰囲気を醸成するために「やってきたこと」「できること」の一貫性がここで必要になってきます
まとめ
自身と会社の未来に対し、前向きに挑戦心があり、
それが伝わる回答が「やってきたこと」⇒「できること」⇒「やってみたいこと」として、一貫性を持って面接で伝えることができればOKです!
一見、面接って難しいと思われたかと思いますが、何よりも重要なこの流れを抑えておけば概ね解決します。
最後に、私はキャリアコンサルタントとして高卒のキャリア支援だけでなく、
「仕事めんどくさいなー」「なんか面白い仕事ないかなー」「とりあえず現状の自分に不満…」といった方にも無料でキャリアカウンセリングしております。(通常5000〜10000円のキャリアカウンセリングが無料!)
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−書き手−
キャリアコンサルタントのはるき(@harukichi_macho)
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