将来を考えて"いま" を見失うと、人はどうなるのか?
ある人に、こんなことを言われた。
将来を考えることは大事だ。だから将来のために頑張れ。
社会の仕組みや人々の生活、価値観が多様化している現代で、
人生の選択肢を広げるために、将来のことを考えることは大事だ。
これは、自分が高校3年生の時、進路指導の先生に言われた言葉である。
いま振り返ると、先生達の仕事は生徒の未来を創る仕事であるから、「まぁ確かにな」と納得する。
ポジショントークだったのだろう。
そんな言葉は当時の高卒で就職した自分には、全く響かず、とりあえず就職してしまった。
その話はこちら。
何も考えずに就職したもんだから、周りからは「高卒で何も考えずに就職とか、人生おわってるなw」と。
地元の友達からは馬鹿にされていた(らしい)20代前半を過ごした。
正直、大学に行こうと思えばスポーツ推薦で日体駒専レベルは余裕で行けた。
何となく就職してしまったのだから、投げた賽は戻せなかった。
だがいま思うと、将来を考えて就職したり、生きてこなくてよかったと思っている。
その都度、”いま”の自分がやりたいこと・やるべきことを大事に生きてきてよかった。
逆に、将来を考えて"いま" を見失っていたら、つまらない人生だったに違いない。
ではなぜ、つまらない人生になると思ったか。
将来のことばかり考えると、その時その時の足跡がない
いい大学に入り、いい会社に入る。
会社に入ったら、いい家庭を持ち、いい老後を目指す。
これを目標に努力し、日々我慢を繰り返したその過程に、自分が生きた足跡が残るのか?
過去にドラマで放送された、「僕の生きる道」がある。
これは、胃がんで余命一年を宣告された高校教師が、人生に向き合う物語。
この教師のクラスにいる、杉田という女生徒がいる。
彼女は、将来のことを考えて大学に入るべきか、いまやりたい歌手を目指すべきか悩んでいる。
彼女に対し、彼は歌手になることを応援した。
杉田さんを見ていて思ったんです。
歌手にチャレンジすることをしなかったら、絶対後悔するだろうって。
僕は、夢が叶うかどうかより、後悔するかしないかのほうが大切なような気がするんです。
彼の選択により、「生徒の将来のことを考えていない」と他の先生から批判の声を浴びまくる。
彼の応援により、生徒の将来が左右されてしまう訳だ。
彼は教頭先生から「大学にいくよう、説得してよ。生徒たちの将来をちゃんと考えてよ」揶揄されるが、反論する。
将来を考えるから、わからなくなるんですよ。
…僕の友人に、将来の事ばかり考えていた男がいます。
(本当は主人公のことを指している)
彼は、人生80年のつもりで生きてきました。
将来のことを考えてとても堅実な道を歩いていました。
今欲しいものをガマンして、将来のために貯金をしました。
本当はこってりとした食べ物が大好きでしたが、将来の健康を考え、たまにしか食べないようにしました。
海外旅行はハネムーンや老後の楽しみとして、一度も行ったことがありませんでした。
しかし、彼はある日突然、あと一年しか生きられないと知ったんです。
将来のことを考えるのは、とても大切なことです。
でも、将来を考えすぎて、今を見失ってはいけないんじゃないでしょうか。
これでいいのだと思う。
結局、人生は一度きりで”いま”やりたいことをやればいいのだ。
やらずに死ぬくらいだったら、やってから死にたい。
また、将来を考えすぎて行動しても、その時の記憶があまり残らない。
逆にいまやりたいことをやった方が、振り返った時に確かな足跡がある。
だから、将来のことばかり考え、その時その時の足跡がない人生を送ることは"いま" を見失うのと同じだ。
では、”いま”を見失うことはなぜいけないことか?
将来は”いま”の積み重ねであると同時に毎日が本番
GTOというドラマがある。
鬼塚という教師が、グレートに学園で起こる様々な問題を解決する青春ストーリーだ。
2012年にリメイク版も登場したが、個人的には反町隆史が鬼塚を演じる、初代GTOが好きだ。
鬼塚のクラスに、東大を目指して「学校からは何も学ぶモノがない」と言い放ち、登校拒否する菊池という生徒がいる。
その菊池に対し鬼塚はこう伝える。
鬼塚:お前、確か、高校なんて東大に入るまでのリハーサルだって言ったな?
俺はいい大学に入って、いい生活するより、いい友達を見つけるほうがよっぽど大事だと思うぜ。
菊池:お涙頂戴の友情論ですか?くだらない。
鬼塚:お前そうやって周りを見下しているとな、一生友達なんかできねぇぞ。
菊池:学ぶべきモノがない友達なら、いりませんねそんなの。
鬼塚:まぁよ、俺に言わせればよ、お前から学ぶことなんか何もねぇ。
だってよ、お前が言ってることは全部教科書に書いてあるんだからよ。
毎日毎日そんなもんばっかり脳みそに詰め込んで楽しいか?
先のことばっか考えて楽しいか?
人間ってのはよ、本当は”いま”をもっと大切に生きなきゃマズいんじゃないのか?
今日一日を大切に生きていくべきなんじゃないのか?
お前、未来っていうのは、そういうのの積み重ねなんだよ。
だから、人生にリハーサルなんてないんだよ。
毎日が本番なんだよ。
今日一日を精一杯生きていくべきなんだよ。
そうじゃなきゃ、”いまの自分”が可愛そうだろ?
(その後、菊池は学校にきて楽しい学園生活を送ります)
いち教師です GTOより引用
グレートティーチャーすぎてこんな先生が来世で担任になってほしい。
結局のところ、将来とは”いま”の積み重ねなのである。
将来を決定づけるのは”いま”をどう過ごすか。
もちろん、菊池が心から「東大に入ることで人生の喜びを感じる」なら、それが”いま”やりたいことなので誰も止めはしない。
問題なのは、”仕方なく将来を考えて積み重ねる”ことだ。
将来を考えて、”やりたくないことでいまを見失う人生”は、きっとつまらない。
それと、やりたいことがあるが”いま”じゃなくて先延ばしにするのは良くない。
プロ野球選手になりたい子供がいるとする。
「将来プロ野球選手になりたいので、10年後からキャッチボールを始めます」と言っていたら、誰もがツッコミをいれるだろう。
「”いま”からやれよ」と。
将来を考えて”いま”を見失ってはいけない。
やりたいことがあるならやるべきだし、”いま”できることを始めてみる。
将来を考えて"いま" を見失い、つまらない人生になってたまるか。
自戒を込めて、来世の自分まで言い聞かせたい。
輪廻転生したい。
以上。
今日はこんなところで。
−書き手−
キャリアコンサルタントのはるきち(@harukichi_macho)
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