僕がサラリーマンになりたての頃、仕事を人にお願いするのが苦手だった。
人に仕事をお願いする時、嫌な顔をされるからだ。
そんな経験をしたことあるだろうか。
自分がそんな経験をしたのも理由があって、お気楽というか、テキトーというか、そういう類の性格の人間だから、人によっては「こいつナメてやがる」と苛立ちを覚える人が多かったのだ。
「すんません、この仕事お願いしていいですか〜(ヘラヘラ)」
と、ヘラヘラ三銃士ばりにヘラヘラして仕事をお願いしていたから。
そんな自分だから、よく、人に怒られては反省をした。
いや、猛省をした。
そこから数年が経ち、人に気持ちよく仕事を引き受けてもらう3つの基本があることに気づいた。
この3つの基本を抑えておけば、かなりの確率で「嫌な顔」はされなくなった。
僕みたいに仕事を人にお願いするのが苦手な人の参考になれば嬉しい。
- 頼む際は相手の得意分野で選び、スキルを持ち上げながら頼む
- 「あなただから頼みたい」というニュアンスをしっかりと伝える
- 「助けてくれませんか?」ということで、相手の脳に「助けないと!」という意識を持たせる
- まとめ
頼む際は相手の得意分野で選び、スキルを持ち上げながら頼む
1つ目の基本。
仕事を頼む際は、必ず相手が知っているあるいは精通している分野なのかを事前に確認することだ。
たとえば、スポーツ科学の専門家にコロナの院内感染状況について、インタビューしたとする。
専門家は「知らんがな」と嫌な顔をするだろう。
なぜなら、人は自分が知らないことは苦手というか、「分からない」からだ。
分からないことを永遠に「なぜですか?」と聞かれても「知らんがな」としか解答のしようがない。
これはサラリーマンの日常業務でもあてはまり、お願いする仕事について、全く知識がない人に仕事を頼むのは好ましくない。
また、頼むべき人が見つかった後に重要なことがある。
それは、その人の有しているスキルを持ち上げたで頼むということだ。
「●●さん、この分野は社内の中で一番詳しいって、色んな先輩がいってました。ぜひ●●さんにこの仕事お願いしたいんです〜(ヘラヘラ)」とお願いするということだ。
ヘラヘラしても、嫌な顔されずに引き受けてくれる確率がアップするだろう。
「あなただから頼みたい」というニュアンスをしっかりと伝える
2つ目は、仕事をお願いする時に重要な 「なぜ自分か?」という意義をしっかり相手に伝えることだ。
1つ目と異なる部分は、相手の能力・スキルという理由だけではなく、人間性の部分を強調して伝えるということ。
どういうことか?
どんなに能力・スキルがある人に仕事をお願いしても、人間の感情的な部分まで納得がいかないと、仕事が思うように進まないことが実に多いからだ。
たとえば、自分はマイクロソフトのエクセルが得意だとする。
エクセルで膨大な実験データをまとめ、来週中にグラフ作成をお願いされたとする。
多くの人は「まぁ、来週中にやればいいんだよな〜」と、提出ギリギリになることだろう。
だが、この仕事を頼まれる際に、
「はるきちさん、エクセルでデータをまとめるの上手いですよね。
デザインセンスもありますし、何よりもAさんと比べて何倍も仕事が速いから助かるんです。
それに、言われたことだけじゃなく、プラスαで必要なデータを取得してくれるから気遣い上手だなって、いつも思います。
お手数ですが、来週中でいいので、この仕事お願いします。」
なんて言われたら、ほぼ確実に明日中に僕はこの仕事を終わらせるだろう。
頼んできた人が綺麗なお姉さんであれば、おそらく、他の仕事を投げ出して1時間後にこの仕事を終わらせるだろう。
何が言いたいかというと、仕事をお願いする時に相手に頼みたい理由を、しっかり言葉にして感情に訴えかけることは、人に気持ちよく仕事を引き受けてもらえるのだ。
かつ、生産性も爆発的に向上する。
昔の僕みたいに「すんません、この仕事お願いしていいですか〜(ヘラヘラ)」といってしまうと、「わたしはお前のお母さんじゃねぇ」と、内心ほぼ確実に思われている。
だから、なぜその人にお願いしたいかということを明確に伝えるために、簡単な言葉でも「その人のよいところ」を見つけて伝えてあげよう。
「助けてくれませんか?」ということで、相手の脳に「助けないと!」という意識を持たせる
3つ目は、仕事をお願いする時に素直に助けを求めるということだ。
膨大な量の仕事に追われ、「確実にコレ詰んだ…」と思う瞬間は誰にだってある。
そんな時に一人でクヨクヨ悩んでも、何も問題は解決しないし、仕事の量は減らない。
だから、人に仕事を渡して助けてもらうのがとっても重要なのだ。
仕事が処理しきれないのは、甘えやわがままではない。
処理しきれずに溜まってしまい、終わらせることができず、最終的に色んな人に迷惑をかける方がよっぽど甘えやわがままに値する。
自分のいまの能力でやれるところまでやったら、素直に先輩や上司に助けを求める。
「助けてくれませんか?」と一言いうだけでいい。
そうすると、ほとんどの人は「どうかした?何か手伝うよ」と暖かく優しい言葉をかけてくれる。
「助けてくれませんか?」という一言で、相手の脳に「助けないと!」という意識をもたせることができる。
なぜなら、人間には「助けた相手に好感を抱いてしまう」という性質がある。
それを裏づける、アメリカの心理学者ジェッカーとランディが行なった実験を紹介しよう。
まず、被験者に問題を出し、正解した被験者にはお金をわたす。
そして、正解した被験者の一部に「申し訳ないけど、研究資金がなくなったから、お金を返してほしい」と伝え、お金を返してもらうというもの。
実験の最後に、被験者に実験者の印象を聞くと、お金を返してくれと頼まれたグループのほうが、頼まれなかったグループよりも、実験者のことを「いい人だ」と感じていることがわかった。
つまり「相手に弱みを見せて助けてもらう」と、自分に対して好意を抱いてもらえるということ。
この現象は、心理学で「認知的不協和理論」と呼ばれる、人間の矛盾を嫌う性質が起因している。
「特に意味もなく助けた」と考えるよりも、「この人のことを好きだから助けた」ほうが自然であるため、本能的に好意を後づけするらしい。
だから、人に助けを求めるということは、単に相手に負荷を与えるわけではなく好意も一緒に与えているのだ。
これを踏まえて、
「相談したいことがあります」
「アドバイスを頂けませんか?」などと声をかけて相談してみよう。
勇気を出して弱みを見せてきた相手に嫌悪感を抱く人は、そうそういない。
また、相手が自分より後輩であったとしても、
「助けてほしい」
「じつは自分はこれが苦手なんだ」と相談するのもよい。
先輩から頼られることで自信がつくからだ。
こうして周りを頼ることによって、仕事の負担が減るうえに、周囲からは好感を抱かれ、また助けてもらえるいい連鎖が生まれる。
まとめ
人に気持ちよく仕事を引き受けてもらう3つの基本を紹介した。
僕はサラリーマンになりたての頃は、人に仕事をお願いするのが下手っぴで何度も怒られたし、嫌な顔をされた。
それから少しずつ、自分なりに「どうしたら喜んで仕事を引き受けてくれうのかな?」と考えた末に辿り着いたのが、この3つの基本だった。
AIなどのテクノロジーがどんなに発達しても、人が人にお願いをすることは決してなくならないだろう。
だから、人にお願いする力はどんな時代でも活用できるし、何よりも生きやすくなると僕は思う。
人は結局1人じゃ生きていけないし、誰かを頼り、誰かに頼られて共存していくはずだから。
今日はこんなところで。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
−書き手−
キャリアコンサルタントのはるきち(@harukichi_macho)
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