「人生は、仕事が全ての幸せを決める。皆が羨むような仕事に就くため、一流企業に入るために頑張る」と思った時期があった。
人生の大半を過ごす仕事。
この仕事が人の幸せを決定づけるに違いないと思い込んでいた。
だが、これは間違っていた。
仕事だけで人の幸せなんか決まらないことを知った。
人はみんな、幸せのために生まれてきた。
では、どうすれば人生をより幸せにするために、”仕事”だけにとらわれずに生きればよいのだろうか?
人生の4つの役割
L・サニー・ハンセンというキャリア理論を研究する博士がいる。
彼女は、人生には主に4つの役割があると提唱している。
<人生の4つの役割>
①労働(仕事)
②愛(家庭と子育て)
③学習(公式および非公式な教育)
④余暇(仕事以外に従事する活動)
4つの役割は、家庭における役割から社会における役割まで、これらが統合させて人生を考えるべきだという。
ハンセン博士は、人生の役割のそれぞれが組み合わさり、パッチワークのようだと説明している。
なぜパッチワークかというと、芸術作品であり、心の温まりや精神の育みを表現しているそうだ。
つなぎ合わせれば、いくらでも広がり、それぞれのパッチの組み合わせに造り手にとっての意味があり、2つとして同じものは存在しない。
そんな芸術作品であるパッチワークをイメージし、人生の4つの役割が様々な形で組み合わさり、人生が造られていくのだ。
仕事を頑張るビジネスマンもいれば、家庭と子育てを頑張るお母さんもいる。
学び直すために海外に留学にいく人もいれば、地域のボランティア活動に精を出す人もいる。
つまり、仕事だけで人生の幸せを決めるのではなく、様々な人生の役割に幸せを感じながら人は生きていく。
では、様々な人生の役割をバランスよく組み合わせるにはどうすればよいか?
統合的ライフ・プランニング理論
4つの人生の役割を組み合わせた生き方を、統合的ライフ・プランニング理論と定義している。
個人とその家族のニーズや望みだけを考えるだけでなく、社会や世界を視野に入れ、統合的なパッチワークを完成させるのだ。
そのためには、6つの重要な課題を考える必要がある。
①グローバルな視点から仕事を探す
5年後、10年後の未来がわからない、VUCAといわれる現代だ。
10年前、街ゆく人々がスマホを片手に歩いている映像を想像できただろうか?
僕は小さい時、駄菓子屋になりたかった。
駄菓子が好きで好きで堪らなくて、高校生になったらバイトさせてくださいと懇願した。
だが、無情にも駄菓子屋の数は年々減り、家の近くの駄菓子屋は潰れてしまった。
年々、僕の好きな駄菓子屋は減っていく現実を目の当たりにした。
平成の間に懐かしの「駄菓子」が消えた...このままなくなってしまう? “駄菓子屋ハンター”に聞いた - FNN.jpプライムオンラインより引用
変化の激しい現在において、やりたかった仕事が簡単に消えてしまう。
だからこそ、グローバルに社会の変化やニーズを捉え、それをキャリアの選択で考慮に入れる必要がある。
②人生を意味のある全体の中に織り込む
人生の4つの役割は、職業選択をする上で欠かせない判断材料である。
たとえば、仕事でバリバリ働いて、家庭と子育てを必要としない場合、「仕事80%・余暇20%」でパッチワークをする。
逆に、家族との時間を大切にしたい人は、「仕事30%・家庭と子育て50%・余暇20%」でパッチワークをする。
長い人生の中で、突発的なトラブルや仕事の変化により、役割のバランスが変わることがある。
それぞれの役割が、人生全体の中に必要不可欠であることを認識しよう。
個々人のタイミングで、優先すべき役割が変わるが、全ての役割は自身のキャリアを成長させるために必要不可欠であり、意味がある。
③家族と仕事を結ぶ
「家族と仕事どっちが大事なの?」
よく恋愛ドラマに出てくるセリフがある。
女性からすれば、仕事を優先して家庭をないがしろにしていることが許せない。
家庭の中では、男女が共同でライフプランを練る必要がある。
昭和の亭主関白の夫像など、現代では存在しない。
現代では、男女が協力して家事・育児・介護など、各々の生活を抱えながら分担して生きていくのが主流だ。
転職や転勤が発生した場合には、家族の理解を得ないことには行動に移れない。
だから、家族と仕事は一対の関係になっていることを頭に入れておこう。
④多元性と包括性を大切にする
(多元性:多くの要素があること)
(包括性:ひっくるめて一つにまとめること)
グローバル社会といわれて時が経った。
価値観の多様化やインターネットの普及により、人生に悩む人も増えた。
他者と自分を比較し、「人生このままで大丈夫なのか」と不安になる。
その解決策として、以下8つの方法がある。
1.自己認識を高める
2.違いに価値をおく
3.自分が属していない文化について知識をふやす
4.文化的に違う人々のキャリア・デベロップメントの阻害要因について知識をふやす
5.他の文化にどっぷりと漬かる機会をみつける
6.異文化交流のスキルを開発する
7.統合へ向けた仕事をする
8.社会変化のために仕事をする
これらは、自分の感受性を高め、価値観を押し広げる。
その結果、柔軟なキャリア選択を後押しする自信になる。
⑤個人の転機と組織の変革に対応する
終身雇用が崩壊し、実力主義の会社が増えている。
会社に人生を預けるのではなく、個人が自分自信の人生をいっそう切り開く必要がある。
組織構造の変化や、それに対応した働き方を身につけよう。
AIの普及で自分の仕事が無くなるかもしれない。
今のままの仕事では、キャリアアップどころかクビにされるかもしれない。
そんな不安を抱えていたとする。
最後に自分を支えてくれるのは、自分だ。
不安を乗り越えるためには、自分に自信をつけるため行動が必要である。
行動できる人になる方法は、この記事に書いた。
⑥人生の目的、意味を探求する
「自分は何のために働くのか?」
将来のキャリアで悩んだとき、仕事を通じて何を成し遂げたいか考えるときがある。
そこで最も大事なのが、自分だけの「人生の目的や意味」を考えることだ。
これを明確にできれば、統合的ライフ・プランニングがより効果を増す。
①〜⑥を踏まえ、人は様々な役割や課題を抱え、それを乗り越えて行くことで自分らしい人生を歩むことができる。
人生は仕事で決まらないと、統合的ライフ・プランニング理論が教えてくれた。
以上。
今日はこんなところで。
−書き手−
キャリアコンサルタントのはるきち(@harukichi_macho)
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