「PDCAサイクルをもっと早く回せ。もっと効率的に仮説検証しろよ」
そんなことを上司に命令されたらどうしよう。
と思う。
無情にも、会社で働く限り上司の期待に応えるのは必要だ。
そもそも、PDCAサイクル自体、効率的に意思決定をするビジネススキルである。
それをもっと早く回せとは、言語道断だ。
PDCAサイクルの質が落ちては、元も子もない。
浅いplanをいくらdoしても仕事は前には進まない。
他に手はないのか?
OODAループという意思決定ツールがあるではないか。
このツールはPDCAと違い、40秒で意思決定できるほどの即効性がある。
5秒ルールならぬ、40秒ルールなのだ。
では、OODAループとは何か?
OODAループとは?
OODAループとは、アメリカの軍事戦略家であるジョン・ボイド氏が発明した、先の読めない状況で成果を出すための意思決定ツールである。
少し不安そうに見える彼は、ピンチな状況であっても、40秒あれば形勢を逆転できる意思決定ができることから、「40秒ボイド」と呼ばれていた。
つまり、OODAループは空の上で数十秒の間、状況を把握して分析し、意思決定をする高速技である。
「OODA」の各プロセスについてはこうだ。
OODAループは、PDCAサイクルと同じように4つのステップに分かれています。
そのステップとは、
「観察(Observe)」
「仮説構築(Orient)」
「意思決定(Decide)」
「実行(Act)」の4つです。
「OODA」は、この4つのステップのイニシャルを取って名付けられています。
「OODA」の読み方は、ジョン・ボイド氏自らが「ウーダ」に決めました。
図で表すとこうだ。
PDCAサイクルとOODAループ、新しいプロジェクトを進めるにあたってのその本質とは│TeamHackers〜自分らしい働き方、実現メディアより
では、このOODAループはどのように活用するのか?
OODAループの活用例
たとえば、僕が営業先でトラブルを起こしたとする。
受注された商品を10個のところ、100個納品してしまい、先方は困っている。
そんな時、PDCAサイクルを回している場合ではない。
なぜなら、PDCAサイクルには時間を要するからだ。
先方が困っているこの状況で、計画に時間をかけてはダメだ。
なんて言ってる場合じゃない。
慌てなくてはならないのだ。
そんな時、OODAループが役に立つ。
まず、この状況をObserve(観察)する。
事実を確認するのだ。
事実① 頼んだ商品10個のところ100個納品された
事実② 先方には商品100個を納品するお金がない
事実③ 先方は怒っている
次に、得られた事実についてOrient(分析)して、仮説を立てる。
事実① 10個頼んだ商品が100個納品された
仮説① 自分の発注ミスで90個余計に納品したので、発注元に返品可能か確認する。
返品不可の場合、自社で買取れるか確認すれば問題は解決される?
事実② 先方には商品100個を納品するお金がない
仮説② 経営的に100個を一括で支払うお金はない
(これまで月10個しか購入していない実積を踏まえ)
10ヶ月分の納品として処理し、10回払いで先方が可能ならば問題は解決される?
事実③ 先方は怒っている
仮説③ 商品100個を購入するお金がないのに、商品が誤発注され怒っている。
(騙されたのではないかと、詐欺ではないかと疑っている)
今後の商品提供に対する割引や、今回注文頂いた10個分の商品代をチャラにする。
このように交渉すれば、許してくれる?
そして、Decide(意思決定)する。
意思決定する上で、何を検証していくべきか、優先順位を考えて決める。
仮説① 自分の発注ミスで90個余計に納品したので、発注元に返品可能か確認する。
返品不可の場合、自社で買取れるか確認すれば問題は解決されるのでは?
→自分から発注元に謝罪して返品できれば、すぐに問題が解決される。
仮説② 経営的に100個を一括で支払うお金はない
(これまで月10個しか購入していない実積を踏まえ)
10ヶ月分の納品として処理し、10回に分けて支払いが先方で可能でればも問題は解決されるのでは?
→ 先方が承諾さえすれば、問題は解決されるが、先の売上が不透明の中、負荷をかけることになる。
また、自社も売掛金として残るため、現金を回収できるか分からないリスクがある。
仮説③ 商品100個を購入するお金がないのに、商品が誤発注され怒っている。
(騙されたのではないかと、詐欺ではないかと疑っている)
今後の商品提供に対する割引や、今回注文頂いた10個分の商品代をチャラにすれば許してくれるのでは?
→ 自社の売上に影響が出るため、先方との関係性が長期的にどの程度、会社にとって必要なことか慎重に判断が必要。
これらの仮説を比較したろころ、優先順位は、
仮説①
↓
仮説②
↓
仮説③
の順番で検証すべきだろう。
仮説①の検証結果によって、仮説②を検証せずに済むかもしれないから。
仮説②の検証結果によって、仮設③を検証せずに済むかもしれないから。
最後に、Action(実行・行動)を起こして仮説検証する。
そしたら、やるべきことが見えているので大抵のことは1日で解決できる。
ここまでのOODAループを考えた時間は、僕でさえ5分だ。
ボイドさんの実力だと、実行するまで40秒というからスゴイ。
仮説①で問題が解決されれば、1時間も掛けずにトラブルが解決されるスピード感なのだ。
仮説③まで検証しても、1日中に何かしらの結論を出せるだろう。
これがOODAループの超高速な意思決定なのだ。
OODAループの強みと弱み
OODAループの強み
強みは、先ほど話した超高速な意思決定である。
PDCAサイクルのような、Plan(計画)に時間を要する意思決定とは異なり、
その場の事実を元に状況判断し、仮説を立てて即実行するスピード感がある。
今あるもので判断し、実行する重要性は、不確実で変化の早い時代にあっている。
突発的な仕事にはめっぽう強く、このツールを使いこなせば、急に仕事を振られても怖いもの知らずだ。
これは、フィージビリティスタディとも似ており、仕事の実現可能性を素早く判断するビジネススキルとして、OODAループは有効的なのだ。
OODAループの弱み
弱みは、 短期的な意思決定にしか活用できないこと。
目の前の起きている事実を元に、状況判断して仮説を立てるため、長期的に見た時に間違った判断をしているケースがある。
例えば、先程の例でいうと、仮説①で誤発注分を発注元に返品できたとする。
これは短期的には間違いではない。
だが長期的に見ると、100個納入した商品を売るための方法を考えて先方に提案すれば、Win-Winとなり、長期的な会社の利益にも繋がったかもしれない。
このように、OODAループは短期的な問題解決に向いているが、長期的な問題解決にはあまり向いていないケースがあるので注意しよう。
まとめ
・OODAループは、PDCAサイクルと同じように4つのステップに分かれている
「観察(Observe)」
「仮説構築(Orient)」
「意思決定(Decide)」
「実行(Act)」
・OODAループの強みは、超高速な意思決定プロセスであり、仕事の実現可能性を素早く判断できる
・OODAループの弱みは短期的な意思決定にしか活用できないこと
僕も、ボイドさんのように、40秒で意思決定できるように鍛錬に励みたい。
あなたも一緒に、OODAループを知り、40秒で意思決定ができ、即座に行動できるようになろう。
以上。
今日はこんなところで。
−書き手−
キャリアコンサルタントのはるきち(@harukichi_macho)
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